信じて励ますことで

“しっかりお兄ちゃん”に

なった長男

 

「うちの子は、どうしてもっとしっかりしないのかしら……。」と

嘆いているお母さんは多いかもしれません。

今回は、子どもの自立心に訴えかけることで、

基本的な生活習慣が身に付き、

お手伝いをすすんでするようになった子育て体験です。

 

太田 初音さん(仮名・沖縄県) るいくん(仮名・中2)

 



 

うるさく言っても効果なし

 

現在、我が家は長男のるいと、長女(5才)、次男(3才)の三人きょうだいです。

 

るいは、小学校三年生まで一人っ子で、待ちに待った妹が生まれたときは、とても喜びました。

 

そして、るいが四年生になった頃のこと。

 

ある日、るいは学校から帰ってくるなり、「お母さん、ぼく、忘れ物チャンピオンになったよ!」と言うではありませんか。私はあ然としました。

 

(私が、下の子の世話に手がかかって、るいにまで気が回らなくなっていたせい……?)

 

それまでの長男へのしつけを見直した私は、もっとるいに目をかけて、しっかりした子に育てなければと思いました。

 

 

それからは毎日、「忘れ物はない?」と、一日三回は聞くようにしたのです。

 

るいはその度に「うん、うん。」と返事をするのですが、忘れ物はいっこうになくならず、私が学校に届けたこともありました。

 

その上、るいはテレビゲームに夢中で、約束の制限時間を超えても止めず、なかなか勉強にとりかかろうとしません。

 

「自分のことは自分で、きちんとしなさい。困るのはあなたでしょ。」と、いくら口うるさく言っても、全然効き目がなかったのです。

 

 

 

「妹の前で叱られるのはイヤだ。」

 

ある時、思い切ってるいに、注意されたことをどう思っているのか聞きました。

 

するとるいは、次のように言いました。

 

「妹の前で叱られるのはいやだ。」その言葉にハッとしたのです。

 

(るいは、かわいい妹の前では、りっぱなお兄ちゃんでいたかったのね……。)

 

るいの気持ちも考えず、一方的に責めていたから、いくら言ってもるいの心に届かなかったのです。

 

私は、幸福の科学の書籍で読んだ、「相手の心性が善であることを信じて、解き放つのが愛です。」という教えを思い出しました。

 

(るい自身は、善を選び取れる力を持っているんだ。それを信じよう。)と決意した私は、責める言葉を出すのをやめました。

 

そして、るいに語りかけました。「自分の行動に責任を取ることで、あなたは成長するのよ。自分を律することができる人ほど、多くの人を幸せに導けるのよ。」

 

るいは、うなずいて素直に聞いてくれました。

 

 

それからは、るいが忘れ物をしても、私は学校に届けに行くのをやめました。

 

勉強やテレビゲームの時間も、るいに自分で決めさせました。

 

そして、るいが決めたことを自分で守れるように、私はアドバイザーに徹していったのです。

 

 

 

“しっかりお兄ちゃん”になった!

 

このやり方に切り替えたことで、不思議と私自身の心が穏やかになりました。そして、「るいの人生のよき応援団になろう。」と、心から思えるようになり、励ます言葉が自然に多くなっていったのです。

 

「あなたならできる。信じているわよ。」という私の思いが伝わったのか、るいもだんだん自分でしっかり考え、行動する子に変わっていきました。

 

忘れ物をしなくなったのはもちろんのこと、テレビゲームにかまけて勉強をおろそかにするということも、だんだんなくなっていったのです。

 

また、それだけでなく、責任感も強くなり、思いやりの心も育っていきました。

 

私が足を骨折して、松葉づえで生活していた時、階段の昇り降りに苦労していると、「ぼくがお母さんの足になってあげるよ。」と、スッと肩をかしてくれたこともありました。

 

「お兄ちゃん、ありがとう。助かるわ。」と、頼りにすればするほど、信頼に応えてくれるようになったのです。

 

 

 

逆境を乗り越え、さらに成長

 

るいが五年生の時には、私が三人目を出産し、引っ越しが三回ありました。

 

さらに六年生の時は、その三人目が病気で一時入院――。

 

そんなあわただしい中、るいは中学受験の勉強と家のお手伝いを両立させていました。

 

妹や弟を膝に抱っこしながら、勉強したこともありました。

 

そうして、志望校に無事合格できたのです。

 

るいが当時を振り返って、「人間は楽な道より厳しい道を歩いているときの方が伸びるんだね。」と言うのを聞いた時には、頼もしくなったなと感心したものです。

 

今後も、子どもを信じて見守り、励ましながら、母親として成長してゆきたいと思います。