お手伝いを通して
「人の役に立つ喜び」を
学んだ子どもたち
お手伝いを子どもにさせたくても、なかなかうまくいかない――。
そんなふうに思っておられるお母さんもいらっしゃることでしょう。
今回は、五人の男の子を育てながら、
お手伝いに信念をもって取り組んでいるお母さんを紹介します。
葛西 里美さん(仮名・広島県)
長男:将太くん(仮名・中1)
次男:康太くん(仮名・小5)
三男:雄太くん(仮名・小3)
四男:陽太くん(仮名・5歳)
五男:謙太くん(仮名・1歳)
わが家は男の子五人兄弟です。
子どもたちは毎朝、お手伝いを日課にしています。将太は洗濯物をたたむ役、康太は家の窓のカーテン開けとお皿拭きの係です。雄太は拭き掃除、陽太は玄関掃除担当。一歳の謙太は、ニコニコするのが仕事です。
子どもたちには、五歳になったらお手伝いをさせるようにしてきました。というのは、私自身が子どものころ、お手伝いを通して人の役に立つ喜びを実感できたからです。
わが子にもそれを味わってほしいと思い、まず長男の将太が五歳になったとき、玄関掃除をさせることから始めました。
幸福の科学の教えに出合ったのは、長男が六歳のときでした。
その中で説かれている「与える愛」の大切さを学ぶにつけ、「お手伝いは、子どもに『与える愛』を学ばせるよい機会だわ。」と、ますます確信が深まりました。
私はことあるごとに、「お手伝いで、人の役に立つ喜びを知ってほしいんよ。きっと将来、役に立つけん。」と子どもたちに語りかけました。
将太は「わかった。」と納得し、弟たちを引っ張って。毎日お手伝いを続けてくれました。
子どもたちの反乱
ところが、私が五人目を妊娠したころから、将太はお手伝いを嫌がるようになったのです。ちょうど五年生の三学期のことでした。
朝、なかなか起きない将太に。私が見かねて「お手伝いは?」と、問いただしました。すると将太は「めんどくさい。」と一言。
そんな風にお手伝いをさぼることが何度かあり、私はとても心配になりました。
「お兄ちゃんとして朝から気を張って、疲れちゃったのかも。もう、いいんかな。男の子だし……。」と、思ったものの、結論が出せませんでした。
将太が三、四カ月そんな調子でいたので、下の子たちにも影響が出てきました。
「お兄ちゃんがしないなら、いいじゃん。」と、下の子までお手伝いを嫌がり出したのです。私は必死で、「今まで続けてきたんじゃけん、やろうよ。」と説得しましたが、私自身、続けさせることに迷いを感じるようになっていました。
子どもに感謝しよう
幸福の科学で学ぶようになってから、私は日々自分の心を見つめるため、家事の合間や子どもが寝た後などに、発見したことや思ったことをノートに書くようにしていました。
その頃のノートには、次のような言葉を描いていました。
「子どもがお手伝いを嫌がるのは、私の心の表れよね。」
そんなあるとき、私が家事をしていると、主人が「いつもありがとう。」と、感謝の言葉をかけてくれました。私はハッとしました。
(主婦として当たり前のことをしているだけなのに、主人はそれに感謝してくれている。)
ノートに綴りながら、自分自身の子育てのあり方について振り返るうちに、私は自分の思いの違いに気づいたのです。
「私は、子どもがお手伝いすることをいつのまにか当たり前に思っていた……。子どもたちは。私がお手伝いを『やって欲しい』と、要求しているように感じているのかも……。」
(そうだ! 子どもがお手伝いしてくれることに、もっと感謝しよう。)と思いました。
さっそく、将太たちがお手伝いをしたがらない時に、まず責める言葉を口にするのはやめました。
そして、「あなたのためよ。」と言って、親の考えを押し付けるのではなく、素直に子どもに協力を求めるようにしたのです。
「お母さん大変じゃけん、助けてぇね。みんなが手伝ってくれると、うれしいんよ。」と言うと、子どもたちは、お手伝いをしてくれるようになりました。
私は「ありがとう、助かった。」と、努めて感謝の言葉をかけました。
また、七年間お手伝いを続けてくれた将太に感謝を表したいと思いました。
ちょうどその頃、主人と雄太の誕生日会の予定があり、その席で表彰することにしたのです。
当日、私が手作りの表彰状を渡すと、将太は照れながらも、うれしそうに受け取りました。
弟たちも、「お母さんは、お手伝いをこんなに喜んでくれているんだ。」と、励みに思った様子です。
それからは、みんなお手伝いをますます進んでするようになりました。
お手伝いを通して、子どもたちは、積極的に人の役に立つことをするようになりました。
将太はめんどう見がよく、近所の子にも慕われ、学校の係も率先してやっているようです。
お手伝いを続けさせて良かったと思います。