「大好きだよ。」と
心から言えた時
娘のかんしゃくがおさまった!
「子どもの気持ちがわからない。」と、思っているお母さんは、
多いかもしれません。親子であっても個性が違えば、
理解できないこと、ぶつかりあうこともあるでしょう。
今回は、母として自らを振り返り、
子どもの心をくみとっていった体験をご紹介します。
野中 菊美さん(仮名・東京都) 美咲さん(仮名・小4)
わが家には三人の娘がいます。
次女の美咲は幼稚園の頃まで、あまり手のかからない子でした。
ところが、小学一年生の冬頃から、ささいなことでかんしゃくを起こすようになったのです。
ご飯時や寝る支度をする時など、私が「早くしなさい!」と、少しきつく注意すると、毎度のように美咲は怒って泣き出しました。
それも普通の泣き方ではありません。身体をまるめて畳に打ちつけ、言葉にならない怒りと悔しさをぶつけるように泣くのです。
あわてて私が「よしよし。」となだめても、いっこうに泣きやまず、三十分、一時間と泣き続けるのでした。
私はだんだん腹が立ってきて、「いいかげんにしなさい!」と叱ってしまい、美咲がよけい泣くというありさま……。
そんな状態が三カ月近く続いたでしょうか。
注意される度にかんしゃくを起こす美咲に(どうしてこんな風になるんだろう。私のこと嫌いなのかもしれない……。)とさえ思うようになりました。
私は子育てにすっかり自信をなくし、どうしたらよいかわからなくなりました。
美咲の気持ちが分かった!
ちょうど、美咲が二年生になる前の春休みのことです。
美咲の問題を解決したくて、私は幸福の科学の研修施設「総本山・未来館」で、知的子育て研修を受けることにしました。
一泊二日の研修には、美咲と末っ子のゆきも一緒に連れていきました。
私が研修を受けている間、美咲は何かと妹の面倒をみてくれて助かりました。
研修中、子育てを振り返る反省の時間のなかで、私は美咲がかんしゃくを起こす原因について、思いをめぐらせました。
心を鎮めて振り返っていくと、ふだん気づかなかった、私の美咲への思いや態度が見えてきたのです。
(いままで、長女と末っ子に目がいきがちだったなぁ。美咲は真ん中だから、私の関心も薄れがちだったかもしれない。
美咲は感情表現が苦手で、「さみしい。」とか口に出さないタイプだし。
逆に私は、喜怒哀楽をストレートに出す性格だから、美咲の気持ちが読めなくて、突き放していた……。)
私はハッと気づきました。
(美咲は、いままでどれだけさみしかっただろう。母親の私のことが大好きなのに、私に愛されているかどうかわからなくて、不安だったんだ。だから心が暴れて、かんしゃくを起こしているんだ。)
美咲のかんしゃくは、私への愛情の裏返しだったのです。
美咲へのいとおしさがこみあげてきて、美咲のすべてを受け入れようと思いました。
研修の最後に、子どもに手紙を書く機会をいただきました。
そこで私は、美咲への思いを素直につづっていきました。
美咲への手紙
家に帰ると、私は美咲を呼んで、向かい合って座りました。そして、美咲への手紙を読んで聞かせました。
――今日は、妹のゆきちゃんの面倒をみてくれてありがとう。一生懸命お姉さんらしく、世話をしているあなたの姿を見て、責任感のある、とてもいい子だと思いました。
いつも怒ってばかりでゴメンね。ママはあなたのことが大好きです。あなたのママでよかった。
あなたは、神様からいただいた大切な宝物です。これからもずっと仲良くしようね。――
黙って聞いていた美咲の大きな目から、涙がポロポロこぼれました。そして、声をたてて泣き始めたのです。
「ママが、こんなに私のこと好きだなんて知らなかった……うれしい…。」
私は胸がいっぱいになり、美咲を抱きしめ、涙ながらに「大好きだよ!」と何度も繰り返しました。
なんと、この日を境に、美咲はかんしゃくをまったく起こさなくなったのです。
お互いに心の壁が消えて、「大好きだよ。」と、愛情表現をし合うようになりました。
娘と心が通じ合ったこの体験が、私の子育ての原点です。精一杯、親を愛してくれている子どもたち。
その愛に応えるためにも、私も子どもの個性を受け入れ、慈しんで育ててゆきたいと思います。