少し臆病だった息子に
勇気と自信を与えた「母の愛」
お母さんが息子さんをしっかりと支えて、
保育園の鼓笛隊での大役をみごと乗り切ったお話を紹介します。
岡崎 風香さん(仮名・兵庫県) たいしくん(仮名・小1)
「もうやめさせたい」
息子のたいしが保育園の年長の時のことです。息子の通っていた保育園は、運動会の鼓笛隊に非常に力を入れていて、いつも九月に入るやいなや練習を開始します。
息子は身体が大きいので、大太鼓になりました。でも、重い太鼓をかついでの練習に、途中から、疲れと不安と緊張のため食欲が落ち、熱が出たり、夜寝ているときに、うわごとでリズムをとっていたり、私が見ていても。つらくなるような日々が続きました。
おおらかな長男、しっかりものの次男に比べ、三男のたいしはだいぶ神経質なので心配でした。
私は、それでも弱音をはかずに保育園に通う姿を見て、心のなかで「がんばって!」とエールを送っていました。
本番一週間前のこと、息子が熱を出したので保育園まで送って行き、先生に休ませて頂きたいことを告げました。
すると、「少しくらい大丈夫、もう日もないし、がんばろう!」と、息子を無理やり連れて行ってしまったのです。
「なぜ、そこまでするんだろう」
それ以来私は、保育園や先生に対して不満が出てくるようになり、「もうやめさせてもらおうか」と考えました。息子もこのころから、毎朝目をうるませながら登園するようになりました。
たいしががんばっている姿を
みんな見守っているよ
そんなある日、主人が「あいつも、今はしんどいやろけど、これを超えたら自信がついて強くなるやろ」と一言。私はハッとしました。
「これは、息子と私に与えられた問題集なんだ」
次の朝、私は息子に「たいしならきっと大太鼓、出来るよ」「たいしががんばっている姿を、先生も、お父さんも、お母さんも、そして神さまも、見守ってくださっているよ」と伝えました。
すると、大きな目から涙がポロリと落ちて「うん、がんばるよ!」と言ってくれたのです。
その言葉通り、息子は最後までがんばり抜きました。ついに当日、ビデオを撮る私の目から涙が流れて止まりませんでした。無事、鼓笛隊が終わった後、おじいちゃんと一緒に参加した綱引きも勝ちました。
「バンザイ! バンザイ!」息子は、飛び上がって喜びました。この日の笑顔は、今でも忘れられません。
几帳面すぎて少し臆病だった息子に勇気と自信を与えるのが、このとき必要な母としての愛だったのです。
保育園の先生も、それを知っていたのだと思います。「神さまは何ひとつ無駄なものを与えられていない」と感謝しています。