私を成長させてくれた
娘の個性の輝き
成長の速い長女と比べて、
次女のゆっくりとした発育に不安と焦りを感じる毎日──。
二人の娘の違いこそが、
自分を育てる種なのだと気がつくことができた
お母さんの体験記です。
吉田明美さん(仮名・神奈川県)・沙織ちゃん(仮名)
どうしてこうも違うの?
私には二人の娘がいます。長女の真美は発育がよく、子育てには多少の自信も持てていました。ところが、二歳年下の沙織が成長するにつれ、上の娘のときとは様子が違っていることに気がつきました。
(オムツがなかなか取れない。もう、言葉を発してもいい頃なのに……)
しかも、一歳の誕生日を迎える頃には、激しい引きつけの発作が起こりました。それも、一日に何度もです。
医師の説明では、「脳波には特に異常は見られませんが、癲癇(てんかん)の疑いがあります」ということでした。
(なんで、うちの子がこんな目に遭うの……)
私は、不安の波に飲み込まれてしまいました。
子育ての迷い
幼稚園に行く頃になっても発作は治まらず、年中になると、幼稚園から「沙織ちゃんは単語しかしゃべりません。言葉が少し遅いようです」と言われました。毎年身体検査をうけている専門機関で調べた結果は「いちばん言葉を覚える時期に、頻繁に発作を起こしたためか、一年ほど知能の遅れがあるかもしれない」ということでした。
(沙織はいったい、どうなるのだろう……。)
将来を思うと、不安でなりません。
そんな沙織が、いじめられて泣いて帰ると、「かわいそう」と思う反面、(このままではいけない、しっかりさせなければ)という気持ちが強くなり、つい叱ってしまいます。
「どうして思っていることを、お姉ちゃんみたいに、きちんとしゃべらないの。だから、いじめられるのよ」
沙織は、私の厳しい言葉を浴びて、涙を流していました。
そんなある日、「幸福の科学の親業研修、とっても良かったから、お姉さんも参加してみたら?」と、妹から幸福の科学の精舎研修を勧められました。
私は、何か道が開けるかもしれないと思い、早速、研修に参加してみたのです。
私の選択
すぐに、私の決意が試される機会が訪れました。
昨年春、沙織がもうすぐ一年生を迎えるというある日のことでした。就学時検診の際、「特殊学級に入れてはどうか」という意見があったのです。
夫からは、「沙織はできるよ。大丈夫!」沙織の可能性を確信した言葉が返ってきます。
(そうだ。心配する前に、どうしたら沙織の可能性を引き出していけるのかを考えてみよう!)
こうして、沙織は、普通学級に進みました。
そして昨年暮れには、沙織のクラスの、あるお母さんから声をかけられました。
「うちの子が、『沙織ちゃんは人の悪口を絶対に言わないし、私が困っていると助けてくれるのよ』と言っているんですよ」
沙織の優しい性格がちゃんと認められていることが分かり、とても嬉しかったです。
親子で明日を創ろう!
現在の沙織はよくしゃべり、私のために一生懸命お手伝いをしてくれます。活き活きとした沙織の横顔を見ていると、いとおしさがこみあげます。
と言うよりも、沙織のもともと持っていた良さが、見えるようになったのかも知れません。
今年一月、長女の真美が頑張っているマーチングバンドの大会がありました。
見に来ている家族のほとんどは、自分の子どもたちの演奏が始まるときに、一斉に声を上げて応援していました。でも、私は何となく恥ずかしくて黙っていました。すると沙織がこう言ったのです。
「お母さん、お父さん、今度はお姉ちゃんたちの番だよ。一緒に『頑張ってー』って言おうよ!」
沙織にうながされた私たちは、思いっきり叫びました。
「頑張れー、ファイトー!!」
(私たち家族が、ひとつになっている!)
この日「親子で心を磨き合う日々が、いつしか家庭ユートピアへとつながるのだ」と、私は心から確信できたのです。